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住宅総合展示場と業界の活性化。
カスタマーが求める住まい探しの場所に。

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  • 2017年11月 9日

マイホームに夢を抱いて多くのカスタマーが、各社の最新モデル住宅が競うように建ち並ぶ総合住宅展示場を訪ねている。しかし、年間着工棟数は下降トレンドにあり、ハウスメーカー各社は来場者数自体の減少を課題としてとらえていた。
「本当にそうなのだろうか?」。真正面からクライアントとカスタマーに向き合うことで課題解決の道を見いだしていったのが、当時、関西戸建流通営業部に在籍していた岩崎徹也さん(現東海・支社戸建流通営業部 全国戸建流通ネットメディア営業G)だ。


SUUMOで価値を提供できることはないか、徹底的に考えた

一戸建てと呼ばれている住宅は、土地と建物がセットで販売される分譲事業と、依頼主が取得などした土地に建物を造る請負事業とに分かれている。ハウスメーカーにとって圧倒的に供給棟数が多い主事業は請負側で、総合住宅展示場は主要な集客チャネルとして50年以上前から確立されていた。

「年間着工棟数の減少傾向は、ハウスメーカーにとって事業の根幹に影響するため、どうにかしないといけない状況でした。でも請負の領域に対し、僕が所属する関西戸建流通営業部でできることは少ないと思われていました。自分は何か価値提供したい。そう考えて取り組んだA社の分譲の領域。SUUMOを集客チャネルとして強化してもらい、結果につながったことでトップの方とも信頼関係を築くことができました。」

これをきっかけに分譲事業を通じてもっと事業に貢献できないのか?そう岩崎さんは思っていた。

価格もわからずに離脱する95%のカスタマー

A社トップとのアポイントでじっくり話す機会を得て、会社の先行きを憂う思いを共有されたことが転換期になった。「このままじゃだめだ。本質的な課題を解決する必要がある。」と強く思ったそうだ。

「住宅総合展示場の来場者数が減少しているから、着工棟数が伸びない。本当にそうなのか?課題はそこなんだろうか?と疑問を抱いていたときに、あるカスタマーのインタビューで気づきを得たことがキッカケになりました。次に家を買う友人に展示場に行くことを勧めますか?と質問すると『勧めない。』と。そこに何かがあると思ったんです。」

A社のある展示場で、年間約1,500組あった来場者のうち、再来場した人は5%の約75組。そこから契約・購入に至ったのは13組。わずか0.86%だったという。A社の営業とは、展示場にカスタマーが再来場した後に、プランを提示し価格をお見積もりし、その次に契約という流れ。再来場しなかった95%のカスタマーはプランも価格も知ることなく購入検討のプロセスから離脱していると考えられた。

見せる展示場と見たいカスタマーのズレとは?

「マーケットデータから、総合展示場の数、月間の数(契約)を見て、契約数が低いこと自体おかしいと思いました、でもA社は普通だととらえている。客観的に見て問題意識を感じたんです。とことん調べてみようと思い20組以上の購入者にインタビューして、社内でもアンケートなど実施しました。そこで展示場とカスタマー側の視点にズレがあることを発見できたんです。」

A社のモデルハウスは、あらゆる最新設備を備え、価格は2億相当。一方、それを見たカスタマーは『建坪が70~80坪の億を超えるような豪邸を見せられても、自分たちが住む家とは違うと思うし、イメージがしにくい。』『どんな家が、いくらで買えるのかをシンプルに知りたいのに、全く伝わってこない。』など、明らかに求められているものと展示場とに乖離があることが見えてきたという。

夢のマイホームからリアリティあるマイホームへの転換

岩崎さんは、「展示場は、夢のマイホーム、憧れの家という文化がまだ残っている。夢も大事だが、カスタマー側からするとリアリティも必要。」と考えた。このカスタマーの“不”を解消することが、A社の課題解決につながるはずだと動き出した。

「カスタマーは展示場で、複数のモデルハウスを見学します。いろんな会社があってどこを見ればいいかわからない。結果、知名度が高い会社から見て回りますが、言われることはほぼ一緒。耐震、断熱など多少違いがあっても、カスタマーはよくわからない。調査の結果では、検討期間が長期化していて平均4.5ヵ月もかかっていました。これもカスタマーが困っているという事実の結果のひとつだと思いましたね。」そこで、岩崎さんは展示場での営業行為に紐づくスキームの再構築と、そのために必要なブランディングという2つに取り組むことになる。


初期段階で価格を開示しないという業界の常識

「業界の常識として、価格が高い商品であるがゆえに、来場者に自社のファンとなってもらうことを重視しています。また、初期段階での価格開示は、高い価格の背景を理解してもらえず離脱につながるという考え方もあります。実際、私から建物の参考プランを広告掲載し、価格開示をしてくださいとお願いした際には、常識を破るリスクをリクルートとして背負えるのか?と言われました。」このとき、岩崎さんはまた、解決の糸口が見いだせなくなった気がしたという。 しかし、ある先輩に話すと、『たとえ、リクルートの利益にならなくても、クライアントとカスタマーのためになるなら、やってみる。それがリクルートにいる人の行動だろ?』と背中を押されたそうだ。


リアルサイズのモデルハウス(分譲住宅)を案内する新たな「型」を構築

「たくさんのカスタマーの顔が浮かびました。彼らにもっと幸せな家探しをしてほしいと思いました。そして、A社の事業も発展させたいと…。常識を突き破ってやるという覚悟が決まった感じです。」

「スキームを再構築するとき、価格の高さの理由を理解してもらうために、ブランディングから着手しました。A社の商品の魅力を整理し、ターゲット像の構築、ターゲットに対する強みや競合比較からの優位性分析などを行い、キーメッセージを明確にしました。一方、SUUMO上で 建物参考プランでの価格を開示。そして、再来場者にはリアルサイズのモデルハウス(分譲住宅)を案内するという接客ステップを「型」にしました。「いくらで、どんな家が買えるのか」カスタマーがイメージできる状態を作ったんです。A社の営業担当の方向けに、これまでの接客との違いやスキーム全体の考え方などの勉強会も実施させていただき装着しました。」

岩崎さんの構築したスキームは、業界の常識を覆し、リアルサイズのモデルハウスを案内されたカスタマーは『実際、わかりやすかったですね。それで、即この会社で決めようと思えました』と話してくれたそうだ。


『For the Customer』という志

「購入者に会うことが楽しくて仕方ない。そこで見つかる“不”や、逆に、こんな思いで購入したなどのうれしくなる答え…。まだ、自分がやれることはあるんじゃないか?」といつも思っていると岩崎さんはいう。スキームを再構築した結果、再来場率も5%前後から10%近くに改善され、検討期間も平均4.5ヶ月程度から1.5ヶ月ほどに短縮された。

「A社のトップからは、`住まいづくりのプロセスを大事にしたい。お客様から住まいづくりが楽しかった、任せてよかったといってもらえることを目標にしている。‘とメールをいただきました。このメールをいただいたとき胸から込み上げてくるものがありました。僕も同じ思いです、家さがしが楽しかった、といってもらいたい。家さがしの時間も幸せなものにしたいんです。昨年のリクルート住まいカンパニーのカンパニーキックオフテーマでもあった『For the Customer』というメッセージがそのものだな、と思っています。いま、自分は入社5年目で、まだカスタマーになったことがない。でもカスタマーになった人がわかりやすかった、と言ってくれたことで、自分のやったことは間違っていなかったと感じています。」