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企画統括室主催のゲストトーク
“住みたい街”を原田曜平氏が分析

  • 対談
  • ワークスタイル
  • 2017年6月27日

2017年2月22日、リクルート住まいカンパニー企画統括室の部会にて、博報堂ブランド若者研究所の原田曜平氏をお呼びして「住まい×若者」をテーマにし、講演をいただいた。世代ごとに変化する住まいのニーズについて、若者の消費行動に精通した原田氏ならではの目線で考察を展開。その一部をレポートしたい。

リスクのある出費はしない、だからといってケチではない?

原田氏は、新語流行語大賞にもノミネートされた「マイルドヤンキー」の生みの親でもあり、国内外の若者研究の第一人者としても知られている。この日のトークは、20代を中心とする若者のボリュームゾーンが、どのようなマインドで行動しているかについての考察から始まった。

原田氏は「最近の若者はお金を使わないので、企業にとっては“都合の悪い”存在になってきたといえる。不景気を前提に生きてきたこと、そして東日本大震災を経験していることから、消費意欲についても高度成長期を生きてきた世代やバブル世代と比べ物にならないほど低く、さらに雇用や将来への不安は常にある」と話す。

それを裏付けるように、クレジットカードの所有枚数は減っていて、ローンに抵抗感が強くなっていることが見て取れると言う。また、車をはじめ高額商品の購入をためらう傾向にもあるようだ。

しかし、その一方で「コンビニなどでちょっと割高なものを買うということについては財布の紐が緩くなっている」そうで、「たとえば、エナジードリンクのレッドブルなどは20代に支持されて市場を伸ばしている」とのこと。こうしたことから、リスクを伴う消費には消極的だが、日常のちょっとした贅沢には、出費を惜しまないことに特長があるといえるだろう。

若者が“怠惰になる”のは先進国の共通点

“将来への不安感”の高まりから、今の20代は安定志向が強く、学歴を求めたり公務員を志望したりと、ベンチャースピリットが失われつつあるという。そうした若者たちは住まいや暮らしに何を求めるのか? 原田氏は次のように続ける。

「若者が派手な暮らしを求めていたのは一昔前のことで、たとえばゴシップガールみたいな煌びやかな生活に憧れている若者は減ってきている。これは国内に限ったことではなく、たとえばニューヨークやパリでも同様の現象が見て取れる」とのこと。

意識高い系と呼ばれる若者のように、週末はイベントに繰り出すというライフスタイルを維持していたり、起業のために人脈づくりに励んだりといったケースは稀だという。

「活動的というよりは、マイペースにのんびり過ごすライフスタイルが主流。たとえば、フランスの若者に休みの日に何をしているか聞いても、『シャンゼリゼ通りを彼女と行ったり来たりして終わりです』という答えがよく返ってくる。これは、先進国の若者全般に見られる傾向で、基本的に“怠惰”になってきている」

これは、国の経済と切り離せない事象だと原田氏は分析する。

「貧しい国の若者の方が頑張っている。それは、見返りがあるから頑張れるとも言い換えられるだろう。しかし、成熟した社会では良し悪しは別として、“だらっ”としてくる。それは、頑張らなくてもある程度、満足度の高い生活が手に入るから。『休日はTSUTAYAで漫画とか映画を借りてきて、ぼーっと見てます』と答える若者が増えていることからも分かる」

現状に不足感がなく、さらに将来驚くような経済発展も見込めない、そうした状況下において無理をしないライフスタイルを求めるというのは、若者に限らず大人でも共感できることかもしれない。

若者ウケが狙えるのは“神社仏閣&公園が充実した街”?

「住まいの近くに寺社仏閣や公園が家の近くにあるのも、ポイントが高いようです。たとえば、ここ10年ほどで、『散歩サークル』がすごく増えています。『モヤモヤさまぁ〜ず』みたいな感じで『ちゃんとした目的がない散歩』を楽しんでいるようです。よって、住まいの近くに思わず散歩したくなる街並みや、まったり過ごせるスポットがあると優位になるかもしれません」

なお、最近の若者は母親と仲が良いことから、「自立して家を出たい」や「東京で一旗あげる」というマインドの低下も見て取れるそう。そのため、家探しにおいては母親の心を掴むこともポイントだと語った。 今回のトークは、暮らしや住まいについて、若者の消費行動をモチベートしていくことが必須であるリクルート住まいカンパニーにとって、とても納得度の高いものとなり、のは、参加者からも驚嘆の声が漏れていた。

今回のトークは若者をターゲットにした企画を編み出すうえで、大きなヒントになるだろう。