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メディアの広告営業にとどまらず業績改善に貢献する
決算書の分析で課題を可視化
クライアント愛が切り拓いた可能性

  • ワークスタイル
  • 2019年7月17日

「取引額を削減したい」ーークライアントからそう告げられたことはないだろうか。営業なら誰しも耳を塞ぎたくなるこの言葉。もし自分が営業の立場だったら、漫然と受け入れるべきか? 諦めずに説得するべきか? 最適解を模索しながら、取るべきアクションに頭を悩ませるはずだ。

関西東海注文住宅営業部・東海グループの落久保佑(おちくぼ・ゆう)さんもまた、取引先大手の企業から、業績不振を理由にSUUMO媒体への広告出稿予算を半分に削りたいと言われた営業の一人。しかし、クライアントの業績改善に踏み込み、広告予算の大幅UPを実現した。ピンチをチャンスに変えた落久保さんの取り組みとは? そして仕事に懸ける情熱の源泉とは?

大手クライアントから突然の予算削減通告

大学院卒業後、新卒でリクルートに入社した落久保さん。注文住宅の営業部一筋7年、首都圏・広島・名古屋で経験を積み、2019年4月からマネージャーとして15人の営業部隊を束ねている。

冒頭の事案は、東海の大手建築会社A社。SUUMOとの年間取引額は東海グループの中でも、トップクラスのビッククライアントだった。商品力も高く、売り上げ棟数は良好、落久保さんとの関係も良く相談が絶えなかったという。

しかしA社の決算の直前、営業部長からSUUMOの広告費を半分にしたいとの相談が突然あった。

「A社は住宅領域以外にも飲食事業など多角経営をされていました。そのうち、他事業が大赤字を出したことで、住宅関連の広告費を削る話が持ち上がったとのこと。私にとっても、東海グループにとってもとても大切なクライアント。さらに、住宅領域は好調なのに、本当にSUUMOの予算を削減することがクライアントにとって良いことなのか、自分自身納得できませんでした」(落久保さん)

そこで、”SUUMOへの広告出稿をやめるべきではない”ことを証明する説得材料として「成約者アンケート」を持参。これまで住宅を購入した人がどれほど広告から流入しているかを示した。しかし、クライアントからは「広告費を下げなければいけない」との反応しかなく、やるせない気持ちになったと落久保さんは当時を振り返る。

ただ、親しかった営業部長から「私も悔しいんです。住宅は伸びているのに。投資は難しいですが、変わらぬ支援をお願いしたい」との言葉をかけられる。そのとき、受注を維持することしか頭になかった自分にはたと気づき、今こそ、A社のために力になるべきだと、落久保さんの視点が180度変わった。「どうすればA社が永続的に成長できるのか」、住宅事業の領域を超えた本質的な課題と向き合うことを決心する。

決算書から紐解いたクライアントが抱える真の課題

当時、住宅は黒字だったが、他事業が赤字だったことでA社は赤字に転落したところまでは把握できていたものの、A社の各事業と利益構造をしっかり把握はできていなかった。「それをしっかり把握して本質的な課題を理解しない限り、クライアントが納得できる提案はできないと考えました」

とはいえ、決算書を分析した経験はなかった落久保さん。折しも、ビジネススキルを磨く社内研修で、決算書を読み込むという講義を発見。渡りに船とばかりに受講した。

「研修では1年間の経営成績を表す決算書(PL)を分析、グラフ化して課題を探す方法を教わりました。早速、2年分のA社の決算書を分析、図式化してみたところ、パターンが見えてきたんです」(落久保さん)

今回広告費削減の理由として、他事業の赤字があげられていたが、決算書から見えてきたのは、実は住宅事業も粗利はいいが、純利益が取れていなかったということ。クライアントとの会話では見えなかったプラスの課題が明らかになった。

「分析した結果、売上に対して人件費がかかり過ぎているのではないか、安売りし過ぎているのではないかという仮説を立てました。しかし、先方の方針は、利益を残すためにコストを削るというもの。そのままでは、集客が減り、売上が落ち、ひいては会社存続が危ぶまれてしまうのではないかと危機感を覚えました」(落久保さん)

売上を伸ばすためには、ある程度のコストを掛けながら安売りし過ぎないことが望ましいのではないかと、分析結果をもとにA社の営業部長に考えをぶつけたところ、A社の受注データや利益率などをすべて出してもらうことができた。
また、落久保さん自身でも競合他社の製品やサービス内容・価格を20社ほど調査した。

「結論、A社の製品は競合と比較して非常に安いことが分かりました。そこで、主力商品の単価を上げる戦略を提案しました。先方も安売りしている認識はお持ちでしたが、話が進んでいなかったとのこと。そこで、商品から集客、値段設計まですべてSUUMOが手伝う取り組みをスタートしました」(落久保さん)

まずは、新商品や既存商品の、サービス、価格設定、広告手法など「Product・Place・Price・Promotion」の指標で要素を分解。結果、既存主力商品の値上げを決定することに。

また、A社のカスタマーと営業双方へのインタビューを通したFACTの抽出を実施。そこから得た「A社=安心品質」という強みの提案を行った。
新商品については、商品企画からA社の営業に自社のコンセプトを伝えるムービーまで、全部リクルート住まいカンパニーで制作することになった。

クライアント愛がビジネスの熱量を上げる

「結果、クライアントの1棟あたりの建物価格をあげることができ、大きな利益創出という貢献を実現できました。」

住宅事業の枠を超えて、クライアントの経営にコミットすることで、上記のようなクライアント業績に貢献しただけではなく、結果的にSUUMOのメディア売上も伸ばすことにもつながった。今回の取り組みは落久保さんが自主的に行ったわけだが、何が落久保さんをそこまで突き動かしたのか、それには切実な想いがあった。

「7年間、営業する中で倒産する会社もたくさん見てきました。結局は、利益を出さないと潰れてしまう。クライアントが儲からないと広告費は絶対に出てこないので、ベースは儲かってもらうことが大事なんです。ただ、原動力の根源はやはりA社の営業部長さんの『悔しい』という言葉。それを聞いたからこそ、思いに答えたいと強く感じました」(落久保さん)

自身の営業スタンスについて、「なかばコンサルタントに近いのかも知れません」と分析する落久保さん。

「SUUMOの営業の面白さは、営業の幅を超えた仕事ができることだと思います。売上が欲しいだけで、経営課題に踏み込む人ってあまりいないんですよね。利害関係を超えた人と人との付き合い、パートナーシップが結べて仕事できることって、とても面白いです。」

「あと、常々後輩に言っているのは、”クライアントファースト””クライアント愛”について。まずは、クライアントを好きになることが大事。そのためには、カスタマーを知ることも大切。好きだからこそ、色々と聞きたくなり、ひいては自分も事業の成長に携わりたいという思いを強くするのだと思います」(落久保さん)

現在、若手マネージャーとして、リーダー的な立場を担う落久保さん。チーム達成やグループで何かを成すのが楽しいと笑顔で語る。

「チームだと影響力が広がるので、マーケットも広がると思うんです。一人でどれだけがんばってもチームほどの数字は作れません。目の前のメンバーが成長する姿を見るのも楽しいですしね」(落久保さん)

これからも個人、そしてチームの介在価値を高め、クライアントの本質的な課題解決に全力を投じていく。