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ホームステージングで販売強化に貢献。
広告営業の枠を超え
カスタマーとクライアントの課題解決に挑む。

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  • 2019年2月 4日

国の住宅施策の重要テーマである「中古住宅市場の活性化」。年々新築にこだわらない検討者が増えてきているものの、売買の現場では、ユーズド感などのネガティブ要素によって敬遠されるケースも少なくない。とりわけ居住中物件の販売ともなると、広告における物件写真や内覧時に、検討者に対してどう魅力的に見せることができるかは、難易度が高い課題だ。

そこで、物件の持つ魅力を引き出す「ホームステージング」という手法に目をつけたのが、首都圏流通営業部に在籍する須田惇心(すだ・じゅんご)さんだ。広告提案の枠を超え、カスタマーとクライアントの可能性を広げるべく新たな売却ソリューションを創り出した須田さんの挑戦とは。

“居住中”中古マンションの売買に立ちはだかる高い壁

現在、入社6年目の須田さんが営業を担当するのは、業界10位以内に位置する中堅の中古マンション仲介会社。基本の業務は、SUUMOへの広告出稿に関わる企画提案だ。しかし、首都圏の中古マンション物件の保有数シェアは、大手4社の寡占状態。そのため須田さんの担当しているクライアントも例外ではなく、売主から物件販売をなかなか依頼してもらえないという課題を抱えていた。

「クライアントは、まず物件の売却を希望している人に、販売を委託する会社として選んでいただく必要があります。ただ、どの会社を選ぶかは売主様の判断なので、売買仲介にあたっては複数社が競合することになります。そのためクライアントは、その競争に勝たなくてはいけないのですが、どうしても知名度や信用度、店舗数で上位の会社に負けてしまうケースが多い。売却希望者から委託してもらうこと自体、難易度が高いんです」(須田さん、以下同)

つまりクライアントは広告出稿で購入希望者を募る前段階となる、「“物件”という商品の確保」が難しいため、売却成約数が伸びないという状況。さらに、居住中販売の物件が多数を占めていたことから、「他人が“住んでいた”マンションではなく、“住んでいる”マンションを買う」という心理的ハードルの高さも相まって、売却成約数も振るわなかったという。

「売主様の多くは、買手が見つかるまでは住みながら売りたいと考えています。なぜなら、いま住んでいる物件が売れなければ、次の物件を買えないという金銭的な事情が大きな理由としてあるからです。もちろん不動産会社に買い取ってもらう方法もありますが、そうすると売却価格が20%程度マイナスになることも。そこで、中古マンションを『売りたい人』と『買いたい人』というカスタマー、そして『仲介会社』であるクライアントの置かれている状況をSUUMOの営業として変えることができないかと考えました」。

メルカリや中古自動車販売をリサーチ。自信を胸にホームステージングの提案へ

現状の改善を目指すべく、須田さんが目をつけたのが「ホームステージング」。簡単にいうと「中古物件をモデルルームのように演出するサービス」のことだ。中古住宅市場が成熟している米国では40年以上前からホームステージングの考え方が広まり、今では家を売却する人の間ではメジャーな手法だという。

「仲介会社は物件の広告掲載にあたって写真を撮るのですが、居住中ともなると家の中がきちんと片付いておらず、生活感あふれるビジュアルになってしまいます。中古でも空室であれば、いかようにも演出できるので、購入検討者に好印象をもってもらいやすいのですが、居住中だと難しくなります。もっと綺麗にすれば検討者の関心も引けるのは明らかですが、住んでいる部屋をいじることになるので、仲介担当者が売主様に対して、むやみにお願いすることが難しい心情も理解できました」。

そこで、まず住宅以外のリユース市場が、どのように工夫しているか調査。中古自動車、メルカリなどをつぶさにチェックしたところ、「他人のユーズド感を徹底的に消すこと」、「ネットもリアルもビジュアルにこだわること」、売るためには最低限この2点が必要との確信をもったと振り返る。

購入の成約数を増やすことが、ひいては物件販売の委託数(預かり数)にも好影響をおよぼすことは容易に想像がつく。課題への打ち手として、ホームステージングが浮かび上がったのは自然の流れだったという。早速、須田さんはクライアントにホームステージングの手法について、担当する仲介会社にプレゼンした。しかし、そう簡単には受け入れられなかったという。

「撮影や内覧のたびに、社員の方が売主様の部屋の片付けやインテリアの配置を担当するとなれば、業務が増加することになります。実際、反対の声もあがりました。ただ、ホームステージング実施のビフォアアフターイメージの写真をご覧いただき、『フルリフォーム済みの中古物件がどんどん増えているので、そこと競えるレベルにしないと居住中の物件をわざわざ買おうと思う人は少ないです』と確信をもって提案。その結果、キーマンの方が意義を理解してくださり、後押ししていただけることになりました」。

反対の声もあがるなかではあったが、「大手の仲介会社にブランド力で劣る当社は、ホームステージングのように手間ひまかける取り組みも必要」と後押しする声もいただき、売却ソリューションとしてのホームステージングの施策が走り出すことになった。

資格取得、撮影時のディレクションまで。自分が背中を見せるべく奮闘

須田さんがすごいのは、クライアントとの施策に徹底的に伴走したところ。まずは、提案した自分自身が背中を見せるべく、ホームステージングのテクニックに関する講座を受講。認定資格のホームステージャー2級を取得した。

「提案した自分の責任として、まずは目指そうとしていることを背中から感じていただくべきだと思ったんです。例えば、私が売主様に直接お願いをして、広告写真の撮影時にホームステージングを任せていただけないか許可をいただき、魅せ方の提案をふくめ撮影当日もご自宅に伺って片付けや家具の配置などを行いました。また、効果的なホームステージングの方法を理解していただくため、クライアント様向けに勉強会を開催したりしていました」。

撮影時だけではなく、購入希望者が内覧する際には生活のにおいに注意してもらうべく、12時間以内の料理を控えてもらえないか打診したり、柑橘系の芳香剤を置いてもらったりと、好影響があると考えられることは果敢に提案したという。一方、そうした対応を面倒に感じてしまう売主へのフォローも抜かりなく行った。

「売主様のゴールは、納得できる価格で売却すること。なので、ホームステージングをすることで家が売れやすくなりますと、自信をもってきちんとお伝えすることが大事です。ただ、お願いしてばかりだと負担に感じられてしまいます。そこで、取り組みを進めていく中でクライアントから、内覧時は売主様に食事券をお渡しして外出していただくことを提案していただき、『責任をもって案内いたしますので、よろしければその間、お食事を楽しんでください』と出かけてもらうなどしていました」。

中古物件の委託数(預かり数)0件→5件、広告出稿も大幅UP。今後も業界の好転に貢献したい

ホームステージングの施策を半年間続けた結果、ある店舗では0件だった中古物件販売の委託数(預かり数)が常時5件になるなど、数字として成果もあらわれるようになった。

「ホームステージングの提案を機に、売主様から信頼を寄せてもらえるようになり、物件を多く預かることができるようになったんです。クライアント様には『最初は戸惑ったけど売れるようになって驚いた』とおっしゃっていただきました。その結果、全店舗に横展開することになり、前年は全社目標に対して90%の達成率だったところ、105%まで到達しました。売却成約数だけなく、売れるスピードも速くなったことも喜んでいただけました。販売数の増加とともに、競合他社ではなく当該クライアントに売却依頼をしていただく数が増えたことで広告出稿も4倍強ほど増えました」。

この取り組みについて、ほかのクライアントに事例紹介したところ、ホームステージングに興味をもち、取り入れる会社もあらわれたという。クライアントの中には、須田さんが当初提案したホームステージングを独自に発展させ、片付けのプロに委託するサービスや、不要な荷物を一定期間無料で預かるサービスを開発したケースもあるそうだ。

自分は営業担当としてきっかけづくりをしたに過ぎず、あくまでもクライアントのチャレンジングな姿勢と創意工夫が実を結んだ結果だと振り返る須田さん。実際のところ俯瞰してみると、2013年に一般社団法人日本ホームステージング協会が設立されたこともあり、ホームステージングは普及の兆しをみせている。とはいえ、一人の営業担当の着眼と行動が、従来の中古マンションの売買の手法を変え、ひいては業界に光明をもたらしたことは間違いないだろう。

こうした広がりを受け、須田さんは「今後もSUUMO営業担当として、中古流通業界を変える足掛かりとなる提案を出し続けたい」と先を見据えている。その根底には、カスタマーの物件探しにおける困りごとを解決したいという思いがあるのだ。

「ホームステージングにとどまらず、業界発展のためにいろいろな取り組みができればいいなと思っています。カスタマーが求めているのは、ネームバリューやマーケットシェアがすべてではないはずです。売買価格競争で勝負するのではなく、手数料を安くするのでもなく、クライアント様には仲介という仕事に自信をもって向き合っていただきたいんです。それがひいてはカスタマーが求める住まいとの出合いを創出することになると信じています」。