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データ活用により街のイメージを向上させるための地方公共団体向けシンポジウム ~リクルート×総務省「Machi.Data.Matching」レポートvol.01~

  • 対談
  • 2016年10月21日

「オープンデータの活用」が叫ばれて久しい。国や地方自治体が持つ公共データを開放し、広く活用していこうというものだ。誰もが自由に閲覧できるだけでなく、データを編集・加工し、拡散することが公共の利になるという考え方である。

オープンデータの名のもとに公開されるのは、たとえば地図データや保育園の数、公園の数、公衆トイレの数、Wi-Fiの設置状況など多岐にわたる。そのいくつかは見せ方の工夫次第で「街の魅力」として認知され、大きなプロモーション効果を生む可能性を秘めている。

2016年8月23日、そんな街データの「利活用」について考えるシンポジウムが開催された。オープンデータを推進する総務省と、メディアを通じて街の魅力を伝えてきたSUUMOが連携。オープンデータにより街のイメージを向上させる方法について、様々な知見やアイデアが語られた。

オープンデータを街の魅力向上、シティプロモーションに活用するには?

「データ活用により街のイメージを向上させるための地方公共団体向けシンポジウム~Machi.Data.Matching」と題された同シンポジウム。地方公共団体の関係者(東京都、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県の約50団体、約70名)を招き、六本木のニコファーレで開催された。

オープンデータをシティプロモーションに活用していきたいと考えてはいるものの、そもそもどんなデータを収集し、どう発信すべきか分からない。そんな疑問を解消し、オープンデータの利活用を促進。参加自治体のシティプロモーション、街の魅力向上につなげることが最大の目的だ。

プログラムは二部構成。前半は共催者である総務省、リクルート住まいカンパニーの各担当者から「シティプロモーションにおけるオープンデータ利活用について」をテーマにプレゼンテーションが行われた。

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自治体、民間企業、ユーザー、全てにメリットのあるオープンデータの活用法とは?/総務省 情報流通行政局情報流通振興課・今川拓郎課長

最初に登壇したのは総務省の今川拓郎氏(情報流通行政局情報流通振興課)。総務省は平成24年にIT総合戦略本部が「電子行政オープンデータ戦略」を策定するなど、オープンデータを推進。その取り組みの概要や現状、課題などが語られた。

「総務省の取り組みとしては平成25年にデータカタログサイトが立ち上がり、現在17,000件ぐらいのデータセットが公開されています。しかし、現状はまだ使い勝手が悪く、“とりあえず載せている”みたいなデータも多いです。本当に使う人のことを考えたデータでは必ずしもないかもしれません。一方、自治体によるオープンデータの現状ですが、200団体を超す自治体が、データポータルサイトを作るなどして(オープンデータを)推進されています。

千葉市や静岡市、鯖江市など、色んな先進自治体が取り組みをされていますが、課題もあります。一つは公開するデータの内容。公共施設の数や場所など、もともと出していたものを『オープンデータですよ』といって公開しているケースが多いのですが、真の意味での利活用につなげるにはそこからもう少し進まなければいけません。トイレ、AED、避難所マップなどは必要な情報ですが、日常的にいつも利用するものではありませんし、ビジネスにもつながりにくい。具体的なニーズがあるものをオープンデータ化していきたいですし、地域のビジネスとうまくマッチして、持続していく事例を作っていく必要があると思います。

オープンデータを形骸化させず、真に価値あるものにしていくためには、官と民が協業していくことが望ましいわけです。たとえば、静岡市や福井県では飲食店の営業許可台帳をオープン化し、そのデータを民間企業が運営するグルメサイトなどに実装する取り組みも始まっています。自治体、民間事業者、双方にメリットのあるデータを出し、ビジネスにつなげていく。総務省としては、そうした先進事例のノウハウを全国の自治体に共有していきたいと思っております」

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住みたい街ランキングから読み解く、選ばれる街の条件/リクルート住まいカンパニー・SUUMO編集長・池本洋一

一方、民間事業者からは、オープンデータ推進のパートナー企業であるリクルート住まいカンパニーが登壇。SUUMO編集長の池本洋一氏が、「住みたい街ランキングから読み解く『選ばれる街の条件』」と題したプレゼンを行った。

集まった地方自治体の関係者に向け、SUUMOのデータから読み解く「街の魅力」の作り方、伝え方、効果的なシティプロモーションにつなげるノウハウなどが語られた。リクルート×総務省・2-101.jpg

「SUUMOの住みたい街ランキングでは、『なぜその街を選んだんですか?』という理由、『なぜその街を住みたいと思ったんですか?』という理由を60近い項目に分けて聞いています。選ばれる街というのは、やはり街に何か話題があり、その話題を意図的に作っている。

たとえば、再開発やリノベーション。大規模再開発が進む武蔵小杉や、古いビルをリノベーションして新しい価値を生み出している清澄白河、蔵前、北千住などがそれにあたります。特に清澄白河や蔵前あたりは面白いですね。『ブルーボトルコーヒー』の国内1号店ができたのは、表参道でも吉祥寺でもなく清澄白河ですし、サンフランシスコ発祥のチョコレート店『ダンデライオン』の1号店も蔵前です。こうした発信力のある話題のお店がひとつできることで、次々と人や店が集まり、点が面になっていきます。

また、ターゲットを絞った訴求を行うことで、選ばれている街もあります。たとえば、流山市ではひと昔前から“母になるなら、流山市”というコンセプトのもと、シティプロモーションが行われています。駅前に子どもを連れていけば各保育園に送り届けてくれる『送迎保育ステーション』を設けたりと、取り組み自体も素晴らしいんですが、私が注目しているのはウェブサイトでの発信の仕方です。市内で暮らしている素敵なママをきちんと取材して、専用のコンテンツで丁寧に紹介している。ターゲットを絞ったプロモーションで、ママたちの共感を生んでいる高齢だと思います。

あるいは、『絵になる街』というのも重要な要素です。最近、南池袋公園がリニューアルされたのですが、全面芝生化され、ラシーヌ(RACINES)というオシャレなカフェもできました。地域の若いママがヨガをしている風景も見られます。まるでニューヨークのセントラルパークのような雰囲気なんです。同じタイミングで神戸市の東遊園地も芝生化されましたが、こうした絵になる空間を作るとInstagram などのSNSで拡散されやすく、テレビにも取り上げられやすくなります。

こういった、街の話題を作る際には4つの観点『新規性』『意外性』『汎用性』『社会性』。テレビの場合はプラス、『絵になること』。これが重要だと言われています。 これらをヒントに私共も自治体の方々と連携して、街の魅力を一緒に探していけたらと思っています」

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■オープンデータの先進的な活用事例を共有

オープンデータをシティプロモーションに活用している事例は存在しているものの、その広がりは十分ではないのが現状だ。今川氏の言うように先進事例のノウハウを全国の自治体に共有し、データの活用例がシティプロモーションや街の魅力向上に寄与することを理解してもらうことがまずは大事になってくる。

そこで、シンポジウム後半ではオープンデータを使ったシティプロモーションに先進的に取り組む地方自治体が登壇。具体的な事例をもとに、そのノウハウが披露された(vol.2へ続く)。