2018.11.19

アリババ創業者も注目する投資用不動産の売買がオンラインで完結するメガサービス

Fintechの発展に伴い、革新的なサービスが次々と生み出されている昨今、不動産取引の効率化・透明化を目的としたサービスが続々と立ち上がって注目を集めている。ニューヨークに拠点を置くベンチャー企業「Cadre(カードレ)」もその1社である。同社は不動産の買い手(超富裕層・機関投資家)と売り手(不動産業者)を結び付ける、招待制のオンライン・マーケットプレイスを運営している。

所有権の切り売りがオンラインで完結

これまでもオンラインの不動産販売・仲介サービスは存在していたが、Cadreは不動産投資に特化している点が特徴的だ。投資額も50万ドルからとなっており、対象ユーザーが他の不動産テックサービスと明らかに異なっていることがわかる。

さらに、高額の投資用物件をまるでECサイトのように“ネット上で手軽に売買できる”という点が特徴だ。実際の購入画面はいたってシンプルな作りになっており、物件情報には購入価格と入手できる不動産資産といった項目が掲載されている。Cadreのプラットフォーム上で物件を販売するためには極めて厳しい審査を通過する必要があり、この仕組みが買い手からの信頼を担保していることがわかる。

投資家リストには著名なVCが名を連ねる

2014年にスタートしたCadre。名だたる投資家から出資を受けており、これまでに日本円で約60億の資金を調達している。また、同社のWebサイトを見てみると、世界レベルで見ても著名なVC(ベンチャーキャピタル)・金融機関が出資者に名を連ねており、市場からの期待値の高さを垣間見ることができる。Forbesの記事によると、アリババ創業者ジャック・マーやロシアの投資家ユーリ・ミルナーも出資しているという。

創業メンバーも個性的で、現CEOのライアン・ウィリアムズはゴールドマン・サックス出身。ハーバード大学を卒業後、ゴールドマン・サックス、ブラックストーン・グループの不動産投資部門を経て、現職に至っている。共同創業者のジャレッド・クシュナーも(ここ数年はドナルド・トランプの娘婿としてメディアで目にすることも多くなったが)ハーバード大学卒で、ゴールドマン・サックスを経てCadreの立ち上げに至った。

EC上で情報と権利を切り売りできる点が面白い

Cadreの特徴を見る時、”不動産投資物件に特化したオンライン・マーケットプレイス” という点に注目しがちだろう。しかし、同社のビジネスモデルのユニークな点は、他のマーケットプレイスでは見ることのできないブロックチェーンを活かした「情報と権利を明確に切り売りできる構造」にある。

不動産は購入までの心理障壁が最も高い商品の1つであるため、売買のプロセスがデジタルで完結することは極めて稀だ。Cadreは不動産の所有権を証券化してデジタル上でやり取りできるというアイデアを用いており、創業メンバーが金融や不動産の仕組みを非常に深く理解していなければ、このような安全性を担保して取引を透明化したスキームを実現することはできないのだ。

遊休不動産の流通への期待

Cadre自体は超富裕層を対象とした物件の売買だが、不動産テックが発展すれば、一般的な不動産でも同サービスのスキームを応用できるのではないだろうか。一物件の中でも使っていない部屋や倉庫を販売することができたり、スマートコントラクト*の仕組みまで踏み込んでオンラインで締結できたりするようになれば、不動産の流動性はさらに高まりを見せるはずだ。

*ブロックチェーンを活かした第3者を介さなくてもオンライン上で信用を担保して契約を締結する仕組み

参考1:Cadre | Real Estate Investment Platform
参考2:フォーブス「フィンテック50」 資産管理・投資運用系18社リスト