2018.11.02

ビッグデータを活用した不動産テック事例

不動産業界の変化と技術の進歩により、不動産テック分野が台頭している。中でも、大量のデータを解析し、ビッグデータとして課題に対する最適解を導き出す技術は、不動産との相性も良く、アメリカを中心に広がりを見せている。事例と共にその詳細を紐解いていく。

HomeLight

HomeLightは、日々の不動産売買の大量な取引データを収集する一方で、200万人ものエージェントの実績も収集し、得意な地域や分野を分析している。

そのうえで、売り手・買い手側とエージェント側の双方に、マッチングに最適化した情報を提供。事実、採用に関しても、不動産業界出身者よりデータサイエンティストを積極的に雇用し、マッチング最適化のためにビッグデータに特化してリソースを集約している。

インターフェースもシンプルで、画面には「Find the Perfect Real Estate Agent(パーフェクトな不動産エージェントを見つけましょう)」というキャッチコピーが踊り、地域名などを入力する検索窓がひとつ。

Seller(売り手)、Buyer(買い手)、Home Estimate(見積もり)の3つの項目から選択できる。

例えばSeller(売り手)ユーザーは、Single Family(一戸建て)、Condominium(コンドミニアム)、Townhouse(別荘)、Mobile Home(トレーラーハウス)、Vacant Lot(更地)、Commercial(商業施設)から売りたい物件のジャンルを選ぶ。次に概算価格とどのくらいの期間で売りたいかを選択し、その後連絡先を入力すると、2,900万トランザクションのデータベース情報にアクセスし、200万人の中から推薦されたエージェントの情報が届くのだ。

「大量のデータを収集し最適化する」というシステムにできることと、「きめ細かいヒアリングをした上での提案」という人間にできることを明確に分け、それぞれを最大限に活かすことに特化したこのサービス。売り手も買い手も仲介会社ではなく、まずはエージェント個人を探す、という考え方が進んでいるアメリカでは不動の位置を築こうとしている。

Trulia

Truliaはアメリカの老舗物件検索サイト。

「Discover a place you’ll love to live(住みたくなる場所を発見する)」というキャッチコピーと、地域名を入れる検索窓の他、Buy、Rent、Soldの項目が並ぶシンプルなデザイン。ユーザーは物件を選んだ後、用途やエージェントの有無、ローン方式などいくつかの質問に答えたのち、実際に取引に進むことができる。

また、データの価値を最大限に活かして、地域に関するありとあらゆる情報を提供している。

Crime(犯罪)、Schools(学校)、Commute(通勤)、Shop & Eat(飲食店)、Affordability(適正価格)、Stats(統計)、Hazards(災害)などの項目が地図上に現れる。例えば、Crimeを押すと犯罪発生状況が地図上に色分けされて表示され、Schoolを押すと学校の所在地がピンとアイコンで表示され、視覚で直感的に理解できる。他にも、下記の内容などが確認できる。

・Commute
自動車、交通機関、自転車、徒歩それぞれでの通勤時間範囲をバーで指定した結果がマップ上に視覚的に表示される。

・Shop & Eat
レストランやカフェなど、選択したカテゴリーの店舗が点で表示される。それぞれが飲食店情報サイトYelpとリンクしており、店舗詳細を知ることができる。

・Stats
中央年齢分布や転入時期、オーナー物件と賃貸物件分布、学歴分布、既婚率や独身率や建築時期など、様々な統計データが直感的に参照できる。

さらには、街の不動産価格の変動データや、抵当権についてなど、不動産に関するオープンデータを最大限にわかりやすく、感覚的に把握できる作りになっている。

買い手からすれば、不動産は高い買い物。まして、買うとなれば一生モノになる可能性もあるからこそ、間取図だけではなく周辺の情報も徹底的に知りたいもの。そのニーズに対してビッグデータを最適に加工して見やすく表示することで応えているのが、人気の所以だ。

この先、不動産取引という普遍的な営みに対し、データをいかに活かして、現状の課題を解決するかが、不動産テックには問われているといえるだろう。