2018.08.23

3Dプリンターを建築に活かす事例

建築においても、他の業界と同じく技術の進歩に伴うイノベーションの波は押し寄せている。中でも、一般人にもインパクトがあるのが3Dプリンターを活用して家を建築する、「家を印刷する」技術。家をプリンターで作るなど夢物語のようにも思えるが、すでに実例が次々に生まれているのだ。

これまでの家造りのプロセスを根底から覆す3Dプリンター建築とはどういうものなのか?

3Dプリンターとは?

印刷といえば紙や壁面など、平面にするものだったが、3Dプリンターとは、文字通り立体物を印刷する技術だ。3D CADや3D CGの設計データをもとに、樹脂などの材料を加工して断面の形状を何層にも積み重ね、立体物を形づくる。

液状の原料に紫外線を照射して硬化させる「光造形方式(SLA)」や、熱で溶かした原料を積み重ねる「FDM方式」など、その様式は様々。3Dプリンターはまだ発展途上の技術なので、これまでは部品や型、試作品や食器、義歯や装具などの医療製品といった、小さなものに利用されることが多く、建築においても完成品の模型制作に使われることがほとんどだった。

3Dプリンターを使用した食器専門の「secca」

ドバイに建設された低コスト3Dプリントオフィス

2016年にドバイに建築された250㎡のオフィスは、わずか14万ドルという低コストで制作。スタイリッシュなデザインと大幅な工数の削減により、3Dプリント建築の将来を示すシンボル的なオフィスとなった。

ドバイ政府は3Dプリンター技術への積極投資を進めており、2030年までには建築物の25%を3Dプリント技術によってまかなうという計画を発表している。

3Dプリント建築の課題と方式

3Dプリンターが実際の建築物を作るに至るには、いくつかの課題がある。例えば、強度や精度に加え、3Dプリンター自体の小型化の問題だ。

前述のドバイの例は、素材に強化繊維プラスチックとガラス繊維強化石膏を加えた特殊なコンクリートが使用されている。プレキャストコンクリート(PC)といって、部材の制作を工場で行い、現場に搬入して組み立てたものだ。

一方で、現場に3Dプリンターを搬入し、その場で実物を建てる方式もある。建築においては、3Dコンクリートプリンタというコンクリートの吐出機が主軸だが、その小型化と高精度化により、現場での建築が可能になってきているのだ。

増える3Dプリント建築企業

3Dプリント建築の技術が進歩し、ニーズも高まる中、当然、各国ではいくつもの特化した企業が様々な分野で実際に事業を遂行している。

・Framlab社(アメリカ/ノルウェー)
Homed

こちらは、アメリカとノルウェーに拠点を置くデザインスタジオ「Framlab」が作った「Homed」という3Dプリントによる居住シェルターユニット。昨今のアメリカ、とりわけニューヨークではホームレスが多く暮らし、安全面、衛生面などで問題になっている。

それを解決すべく、ビルの壁面の窓が一切ない部分に3Dプリンターで制作された蜂の巣状のユニットを設置できるプロダクトが「Homed」だ。

壁面というデッドスペースを活用することで場所の問題も軽減し、さらに前面にはダイオードによってプライバシーの保護と同時に、広告などのコンテンツを表示できる仕組みになっており、オーナーの収益にもつながるというところまで考え抜かれている。

単純に3Dプリント技術を活用するだけではなく、デザインの力もプラスして問題解決に特化することで、ユニークな施策も実現化できるという、可能性を感じるプロダクトである。公式サイトも美しく、技術だけでなくデザインを大切にしている企業なのが見てとれるだろう。

公式サイト:https://www.framlab.com/

不動産に最新技術を組み合わせた不動産テックの分野において、誰もがひと目みてわかる3Dプリント建築は、花形であると言えるかもしれない。3Dプリンターにより建築のプロセスを省き、低コストで必要な建築物を作り上げることができるので、不動産業界を根底から覆すことになるかもしれない。