INTERVIEW

田中 孝昌
データマネジメントグループ マネジャー

データプラットフォームが組織、サービス、そしてマーケットにもたらす進化

SIerとして幅広く業界を経験したのち、リクルート住まいカンパニーに入社した田中孝昌。現在はデータマネジメントグループのマネジャーを務める田中に、データアーキテクトとしての役割やミッション、自らが感じる業界課題、そして今感じている“やりがい”について聞いた。

田中 孝昌
データマネジメントグループ マネジャー

5年・10年先のビジョンを描き、
自分の作るシステムと対峙する

データマネジメントグループは、膨大なアクセスログや不動産物件情報を適切に管理することで、SUUMOの企画・開発を支えています。わかりやすく言うと、SUUMOにアクセスしたユーザーが、どのような物件に興味を持ち、結果としてどういった行動をしたかをデータとして蓄積し、あらゆるステークホルダー(社外のユーザーや広告主、社内の企画者や技術者)が活用できるようにデータプラットフォームを整備することが主な仕事。私たちデータアーキテクトはデータプラットフォームを管理することで、物件とユーザーのマッチング精度の向上といった、SUUMOのプロダクトとしての継続的な進化を支えています。

前職まではSIerとしてWEBシステムの開発、中でもデータ解析技術を活用したリコメンデーションシステムの開発に多く携わってきました。リクルート住まいカンパニーに入社したのは2017年の4月のことです。

SIerでは、担当するクライアント企業にプロとしての技術を提供する仕事をしていたのですが、多種多様な課題をITで解決しまくる……野球で言うと“千本ノック”のような感じでした。それは、自身のキャリアの柱となるITスキルを得る非常に重要な時間だったのですが、その一方で、思い半ばでシステムの担当を外れることも多く、自分の作ったシステムに責任を果たしたいのに、クライアントを含めた他の誰かに委ねざるを得ない、という悔しさを感じることも多くありました。

今は、自分のシステム、特にデータプラットフォームを責任者として進化させていく、という仕事に非常にやりがいを感じています。データプラットフォームの5年、10年先の進化といった中長期ビジョンを、自分が責任を持って実現する覚悟を持ちながら考えられるようになったことも、SIerからこの会社に来て変わったことです。

サービスを進化させるログデータ開発と、それを支える技術者育成を両輪で推進

SUUMOは賃貸だけでなく売買、売買の中でも新築、中古、注文住宅、リフォームといった不動産に関わるさまざまな商材のサービスを提供しています。私たちはそのすべての商材のデータを活用して、SUUMOのサービスを進化させていくことをミッションとしています。そのミッションを果たした状態として実現したいビジョンは、リクルート住まいカンパニーのすべてのステークホルダーが、正しいデータを利用できるデータプラットフォームを実現することです。そのためには、目的を持ってデータを収集していくことが重要です。機械が自動で出力するログデータをただ集めているというよりは、明確な狙いを持ってプログラミングを行い、ログデータの内容そのものを開発している、という表現が正しいです。

私の統括するデータマネジメントグループは現在社員が5人で、社外の開発パートナーさんが30人ぐらい。全体は35人ほどの規模感で、4つ5つのプロジェクトを並行して進めていきます。

プロジェクトの目的は、新広告商品の開発、サイトの構造改善、社内のデータ分析環境の構築、など多岐に渡ります。例えば、新広告商品を開発する場合、その広告がどのようなユーザーに見られているか、広告主が期待する効果を上げているか、といった内容を分析し、明らかにするためのログデータを開発します。ログデータを取得するための技術方式やデータの内容のモデリングには、膨大なパターンが存在します。今回のプロジェクトに真に必要なものは何か、メンバーで議論したり、机上検証だけではなく試しに開発したり、といった試行錯誤を行っています。

設計が決まったら、開発パートナーさんにプログラムの実装をお願いすることが多く、社員のメンバーは進捗、課題管理などのディレクションの役割を果たします。しかし、最近は少し状況が変わってきていて、社員のメンバーもプログラムの実装を行い、プロダクトとしてリリースすることが増えています。そのようにやり方を変えた意図は、人材の育成という観点からです。

既に開発の各工程でモノづくりを経験し、技術を身に着けてきたメンバーがディレクションに集中し、さらなる専門性を獲得していくことは、技術者のひとつの良いキャリアパスだと私は考えています。一方で、そのような経験が不足しているメンバー、特に実際に自分の手を動かしてプログラムを組んだ経験が不足しているメンバーがディレクションに集中することは、技術者としての成長に蓋をすることにならないかと危惧しています。

頭をフル回転させて自分の考える最高のプログラムを作り上げ、最高だと思っていたのにレビューでボコボコにされ、それでも諦めずに自分の力でプロダクションレベルに仕上げていく。そのような機会を提供し、優秀な技術者を育てられる組織に変えていきたいと考えています。

このような組織の進化はまだ始まったばかりですが、私たちの目指すデータプラットフォームの実現にはたくさんの優秀な技術者が必要なので、技術者が育つ環境の実現は急務と考えています。

NO.1メディアの強みを活かして
業界の本質的な課題を解決

SUUMOは、業界NO.1メディアとして不動産業界を牽引していくポジションにあると思っています。そのため、リーディングプレイヤーとして業界課題を解決することに向き合える環境が整っています。

マネジメントという立場から見ても、リクルート住まいカンパニーには私が過去にいた会社と比べても、自分で思い描いたことを実現し、それを社会にサービスとして提供する仕事をやりたいと考えている人が多いように感じますね。

私自身もこの会社に入り、技術者として「机上だけではわからないことがたくさんある」ということを感じました。前職までは自社サービスを持っているわけではないので、最終的な意思決定はクライアントに委ねるしかありませんでしたが、ここでは、「やってみよう」と自ら問題意識を持って挑戦することができ、会社も技術に対して積極的に投資をしてくれます。

今まで“勘と経験と度胸”で企画推進されていたものを、私たちが整備したデータを活用することで、事業の意思決定のスピードと確度を上げることができる──それは組織の進化であり、それによって業界に大きく貢献できることは大きなやりがいだと思います。

また、住まい業界は新築マンションの価格が開示されていないことが普通だったり、あとは賃貸でも住んでみたら騒音や湿気が酷かった……ということも多かったりします。こうした業界の不便をひとつひとつ解消していくことに継続的に挑戦していきたいです。

そして、住まい業界には新たな技術を取り入れる動きがあります。例えば、私たちはIoT技術を使ってセンサーを各部屋に設置し、日当りや温度、湿度がどれくらいなのかを測る技術検証を行っています。未だ検証段階ではありますが、新たな技術を育て、技術の力で社会を少しでも良くしたいと思っています。

リクルート住まいカンパニーは会社の規模も大きいですし、業界NO.1メディアの強みを活かせる。私たちは単なる広告メディアではなく、データホルダーとして新たな価値を提供し、住まい業界全体を進化させていきたいと考えています。