INTERVIEW

秋山 純
執行役員 兼 ネットビジネス統括本部長

IT化に広がる無限の可能性。
不動産市場は今が一番面白い

2016年よりリクルートライフスタイルからリクルート住まいカンパニーへ異動し、執行役員を務める秋山純。IT化を迎える不動産業界に対して、今何をすべきなのか。事業が目指すビジョンを訊いた。

秋山 純
執行役員 兼 ネットビジネス統括本部長

業界全体にIT化を進めていくために、白地を埋めていく

住まいカンパニーに転籍して、最初に感じたのは、不動産業界にはIT化への可能性が広がっており、白地が多くあるということです。それはカスタマー向けのサービスに対しても不動産会社などのクライアントの業務全般に対しても言えることでした。

そこでまず、SUUMO上での物件問い合わせ数を上げようと考えました。その背景にはクライアントに対して圧倒的にカスタマーを送客できる媒体としてお役に立てている状態になり、それによって業界との深い信頼関係を築いていきたいという狙いがありました。そうすることでクライアント向けソリューションをより多くの企業に受け入れていただき、業界全体にIT化を進めていけると考えたからです。

さらに、サイトの改善スピードを上げるために、組織を再編して人材の適正配置を図りました。例えば、部署を、データ活用、UX改善など、各専門領域に特化させました。それによって散在していた人材を専門性ごとに固めて業務の生産性を上げるとともに、メンバー個人の迷いをなくして、どこを目指せばいいのかがわかりやすくなりました。組織としての専門性を決め、力のある先輩をロールモデルとして示すことで、各部署で働くキャリアパスを明確にしたのです。

送客メディアから総合的な
ソリューション提供事業者に

今後はカスタマーに対しても不動産会社などのクライアントに対しても、ITテクノロジーの力を使ったサービスの提供を行っていきたいです。

カスタマーに対しては、本当に自分に合う家と出会う機会を生み出したい、どんな選択肢があるかを知り、納得感を持ち幸せな物件に出会う人を増やしたいと考えています。

クライアントに対しては、広告による集客支援以外のソリューションを一切提供できていないに近い状態で、まだまだお役に立てる余地があるなと感じています。具体的には、業界全体の生産性を上げる業務支援領域に挑戦していきたいと考えています。労働集約的な業務をなるべく減らし、そこに割いていた時間を、カスタマーが求める家を探す時間、物件の魅力がより伝わる方法を考える時間に使えるようにする。生産性を上げることができれば、業界全体のコストを下げていくことが可能になります。そんなソリューションを業界全体が求めているのではと感じています。

SUUMOで蓄積してきたデータを活用すれば、物件への問い合わせだけでなく、追客支援やその先の成約に至るまでのサポートもできます。そのサポートはWEB上に留まらず、実際に店舗やモデルルームを訪れた人への接客に対する支援も可能です。送客メディアから、クライアントの業務改善を促し、売り上げや生産性を上げるソリューション提供事業へと、進化していきたいです。

「引っ越さない民族」にしない。
住宅の流通を増やしより魅力ある業界へ

不動産業界よりもIT化が進んでいる業界はたくさんありますが、それは不動産業界が遅れているのではなく、そもそもIT化というものが、市場規模が小さい産業、つまりこれまでの仕組みを壊しやすい業界から始まり発展してきたからです。

実際、小売、アパレル、旅行とIT化の波が来て、やっと不動産の順番が来た。不動産テックという言葉が象徴するように、この巨大な市場に、ITの力でチャレンジできる今が一番面白いと思いますし、今やらなくてはならないとも感じています。

先ほど、クライアントに対して業界全体の生産性を上げる支援をしたいと話しましたが、生産性の低さは、そのまま価格に転嫁されます。つまり物件を高く売り出さなければならなくなります。そうすると、カスタマーからすると、住みたいと思える物件があっても価格がその想いの足かせになってしまいます。次第に「引っ越さない民族」になり、不動産の循環が止まる負のスパイラルに入ってしまいます。

また、新築が減っていく以上、中古の物件の魅力をどうすればより引き出すことができるかの研究も必要です。新築で訴求すべきポイントと、中古物件で訴求すべきポイントは少し異なります。立地や条件だけでなく、どんな家族構成の人の、どういうニーズを満たせるのかなど、一工夫、二工夫したメッセージが必要になってきます。そういったシーンでも住まいカンパニーが持つデータを活用して、貢献していければと思っています。

家は、人生に大きな影響を与えてくれます。住む場所が変われば、気持ちも新しくなりますし、生活だって変わります。だからこそ、ファッションや髪型のように、引っ越しを気軽なものにすることは社会にとってとても意義のあることだと私は思っています。そのために必要なことを、住まいカンパニーで実現していきたいです。