INTERVIEW

川上 建一郎
WEBプロデューサー(商品企画)

住まい探しのあり方を変え、
一人一人の人生を豊かにしたい

「SUUMO」スマートフォンアプリの戸建・流通領域のプロダクトオーナーを務める川上建一郎。前職で不動産とは異なる生活領域のサービスの構築に取り組んでいた彼が感じる、不動産領域の魅力とは。

川上 建一郎
WEBプロデューサー(商品企画)

「家」は単なる物質ではない。
だから面白い

不動産業界の面白さは、お客様の人生に対する影響が抜群に高いことにあります。私は前の会社ではECサイトや飲食店予約サイトに関わっていましたが、家を買うシーンは、それらと比べると圧倒的に少ない。その分、その人の人生への影響度はものすごく高いと感じています。

我々は、「家」という冷たいハードを扱っているわけではありません。周辺環境や過ごせる時間も含めて、人のライフスタイル・生活自体を「家」と表現しています。見せ方や捉え方にもよりますが、人の価値観に近い、温かいものを扱っているわけです。

また、大きな変革を迎えていることも不動産業界に関わる魅力の一つ。他の業界でも消費者のニーズや価値観が多様化していると言われますが、家も同じです。

これまでは家を買うなら新築といった「新築志向」や「角部屋」、「南向き」という言葉に代表されるように、多くの人が、似た条件を優先順位高く志向するような家探しをしていました。ところが最近では、単身世帯、高齢者世帯、共働き世帯の増加など、家族のあり方も変容・多様化していますし、価値観が多様化する中で、住まいに求める条件や優先順位も、住まい方に対する要求も多様になっています。この多様化する世界の中で、ユーザーニーズを満たすサービス作りに取り組めるのが面白いですね。

多様なニーズ・課題に応えるため、
定量と定性を使い分ける

今現在、SUUMOが多様な価値観に対応できているかというと、悔しいことにそうは言い切れません。私が関わる「戸建・流通」部門であっても、新築一戸建・中古一戸建・土地・中古マンションの4つの不動産領域を扱っており、それぞれお客様のニーズは全く違います。現在は、底上げのために一つのWEBサイト上で改善を行っていますが、今後は、それぞれのユーザーが抱える課題を特定して、個別に対応していく必要があると考えています。

精度の高い課題の設定はサイト改善において私が最も大事にしているものです。どれだけ本質的な課題が見つけられるかで、そのあとの施策の質が変わってきますし、課題のない施策は本来あり得ないと考えているからです。

そのために、並行してWEBサイト上で得られる定量データだけでなく、ユーザーヒアリングから得られる定性データと組み合わせた分析基盤も整えています。

定性と定量は、原因と結果の関係であると考えています。例えば、ある流入からのランディングページの直帰率が他の流入と比べて異様に高いことは定量分析の結果導き出されるもの。しかしその原因として、ユーザーはどんな心理状態になっているのか、何を期待して、何を不安に思っているのかといったユーザーの心の部分は一次情報(定性データ)からでしか知り得ないのです。

また、定量データはSUUMOに来てくれているユーザーの行動データに過ぎないので、SUUMOに触れていないシーンのユーザー情報は知り得ません。例えば、競合サイトと並行して使っているとか、夫婦で情報を共有しているとか。そういったリアルなサイトの使い方まで踏み込んで調査し、改善することができるのが定性調査のいいところですね。

定量分析と定性分析を必要に応じて行き来することが仮説の精度を上げる鍵だと考えています。例えば、定量分析で「結果」を確認し、ある程度仮説を立てて、定性分析で仮説を検証することでより精度の高い課題の特定を行うことができます。一方、定性分析で得たデータ、例えば平日や休日の行動パターンや、使いにくいと感じている画面や機能などをもとに定量データを確認すると、時間帯別にデバイス接触時間が変わることや、目立たないのに使われている機能など思わぬ発見があったりします。

そうしてユーザーが抱える課題をきちんと特定することで、競合と差別化を図っていく必要があります。家探しの当たり前を作り続けるために、今までよりさらにユーザーと向き合い、課題を特定することからしっかりと取り組んでいきたいと思っています。

データとテクノロジーを駆使して、
住まい探しを次のステージへ

多様な価値観・ニーズに対し常に最適な選択肢を提供するためには、住まい探しのあり方を変えていく必要があると考えています。

具体的には、物質的な条件だけではなくユーザーの理想のライフスタイルや価値観から探せるようにしたいと考えています。今は、間取りや立地条件等、物質的な条件からしか探せませんが、言葉では言い表せないようなものや価値観から、条件を特定するようなイメージです。物質的な条件は、理想を具現化するための手段でしかありません。誰しも理想のライフスタイルの部分的なイメージは頭の中にあると思うので、言語化しにくい直感的なイメージでそれに近いものから選んでいけば見つかるような、そんな世界を描いています。

多くの業界で、ビジネスをWEBシステム化するだけのイノベーションは一通り終わり、機械学習などのデータサイエンスを融合させたソリューションが話題になっていますが、不動産業界でも、ビジネスとシステム、そしてデータサイエンスの三位一体化が進み、機械学習などデータサイエンスを活かしたサービスづくりが肝になると思います。