INTERVIEW

竹原 一彰
データソリューション1グループ マネジャー

研究を研究のままで終わらせない。課題解決にコミットするデータサイエンス

遡れば大学時代から自然言語の研究に没頭し、前職までの10年間はSIerで働いたのち、リクルート住まいカンパニーに入社した竹原一彰。現在はデータソリューション推進部 データソリューション1グループのマネジャーを務める竹原に、過去・現在の経験から感じるデータサイエンティストという仕事の魅力や、不動産業界における課題、そして未来の人材への期待などを聞いた。

竹原 一彰
データソリューション1グループ マネジャー

テクノロジーをビジネスフィットさせる。学生時代からのテーマが転職の決め手に

リクルート住まいカンパニーに入社したのは2016年1月。その前の約10年はSIerに所属していて、そのうち最初の7年間は自然言語処理の研究と商品開発、残りの3年間は金融系サービスの導入支援コンサルから開発プロジェクトのマネジメントをしていました。その時、決まった案件をマネジメントするというよりも、自らのアイデアを形にしていく仕事、企画・開発から携わることができる仕事の方が自分には合っていると感じたんです。転職する時には「ユーザー向けに自社サービスを提供している会社に行く」と決めていました。特に不動産業界に絞って転職先を選んでいたわけではなく、自社でサービスを企画・開発して、ユーザの反応がダイレクトに返ってくるという点を重要視していました。

そもそもコンピューターが好きで、学生時代は自然言語処理の研究をしていました。自然言語、つまり人間の言葉を機械に理解させる研究だったのですが、一時期は「自分の言うことをちゃんと聞いてくれるのはコンピューターだけだ」と割と本気で思っていました(笑)。

またそのころ、ビジネスについて勉強したくて不動産ベンチャーの “不動産コンサルタント”の枠にインターンとして応募したんですが、面接で私がプログラムが書けると知ると、プログラマーとして採用。そこから2週間ぐらいでGoogleマップで物件を紹介するWebアプリを作ってリリースしたら、そのアプリが新聞等のメディアでも取り上げられ、会社の業績もすごく伸びたんです。振り返るとその時の経験は自分の中で大きくて、テクノロジーとビジネスが上手くフィットすると効果も大きいし、面白いなと感じたんですね。

その頃から常にテクノロジーをいかにビジネスに結びつけるかは自分の中でテーマとして持ち続けています。リクルート住まいカンパニーに魅力を感じたのは、先ほど言ったように自社サービスを持っていることに加え、不動産業界には社会的な課題が多く、やりがいがある。自分のやったことが自分自身にも恩恵がある上に、世の中に役立つということが大きかったのだと思います。

技術開発に集中できる環境で
マーケットの課題を解決

不動産業界はITの導入が進んでいなかったり、情報の非対称性があったりと、さまざまな課題があります。クライアントやカスタマーに新たな価値を提供しながら利便性を追求することで、マーケットの課題解決のきっかけを作りたいと考えています。

リクルート住まいカンパニーに入社してからは、組織の名前などは変わったりしましたが、ずっとデータ関連の部署で、1年半ぐらい前からはデータソリューション1グループのマネジャーを担当しています。

リクルートの主なビジネスモデルは“リボンモデル”と呼ばれており、SUUMOの場合は家を探しているカスタマーと集客したいクライアントの2種類の顧客がいます。その両者のマッチングを生み出すサービスがSUUMOなのですが、その中で私たちの部署は主にカスタマー寄りの施策を行っているチームです。機械学習などを取り入れて物件を探しやすくしたり、問い合わせやすくしたりして、いかに効率的に理想の物件と出会ってもらうかをメインテーマとして取り組んでいます。

今は直属のメンバー7人に加え、業務委託している方が10数人いらっしゃるので、20人くらいの規模感のチームで動いています。入社した当時は、組織面でも技術面でも移行期だったので、いろいろ整っていない状況もありましたが、今は「ユーザーと物件とのマッチング精度を高める」という大きなゴールに向かって技術開発に集中できる体制も整ってきました。私自身、マネジメントする立場として、ムダなことはしないようにシンプルな戦略を定め、メンバーが自主的に考え、行動に移せるようなチームづくりを意識しています。

業務面で言えば、機械学習によるパーソナライズを通じて、検索結果を最適化したり、カスタマーに物件をレコメンデーションしたりということは引き続き進化させていきたいです。また、広げるという観点で言えば、そもそも「どうやったらSUUMOを見つけて利用してくれるのか」や、「どうやったら継続してSUUMOを利用してくれるのか」という部分にも注目して、今後はデータを活用しながらSUUMOというメディアを大きく成長させていきたいと考えています。

業界を牽引するポジションの
“最前線”で仕事ができる

不動産は自分自身もユーザーになるので、実体験から「こうなったらいいな」と思えますし、それを自分たちの作ったもので達成できれば、自分自身もハッピーになることができる。それはこの業界に身を置く人にとっての大きなやりがいだと思います。

ただ、私自身、やりがいは感じていますが、まだ大きな達成感は感じていません。もっと簡単に家を買ったり売ったり借りたりできて、誰もが好きな家に住める世界が理想。そこまでにはまだまだやることだらけなんです。

SUUMOがUI・UXをいくら改善しても、最大公約数を求めた施策では気持ちよく使っていただけないユーザーは必ず存在してしまうので、その人の特徴を捉えたパーソナライズ化はメディアとしてのさらなる成長に今後さらに必要だと思います。上辺だけのサービスやUI・UXは簡単に真似されてしまい、どこかで独自性を出さなければレッドオーシャンで戦い続けることになる。どこで競合優位性を獲得するかは、引き続き課題となってくるでしょう。その点、SUUMOはNO.1不動産ポータルサイトとしての圧倒的な情報量がその競合優位性を支えています。そのように業界を牽引する“最前線”で仕事をできることは、データサイエンティストとしてすごく鍛えられると思います。

ここで働くにあたっては、研究を研究のままで終わらせず、プロダクトにつなげることを意識することが大事。高い専門性は持ちつつもそれを狭く捉えない人、複数の軸で自分の専門性を確立したい人――そういうビジネスにコミットできるデータサイエンティストが、今は求められていると思います。